◎清兵衛と瓢箪

●作者:志賀直哉白樺派/内村鑑三に師事/宮城出身/肺炎88歳死去)
・作者について

 *代表作:
城の崎にて→事故で命拾いした主人公が、養生先で目にした3つの「死」により生死は偶然に支配されていることを悟る。心境小説の代表作。
暗夜行路→志賀の唯一の長編。完成までに膨大な時間。自我貫徹に苦しむ主人公が、自然との調和を背景に他者との融合へ向かう魂の遍歴を描いた。
網走まで→汽車に乗り合わせた母子の会話から想像して書いた作品。網走まで行くという母子を「自分」が観察する形でその人生を切り取るように描く。文壇登場作。
清兵衛と瓢箪→省略
和解→父との和解を描いた私小説の代表作。中編。

 *リアリズムに徹した簡素かつ正確に描かれた作品は近代日本の口語体文章のひとつの到達点と評価され、芥川などから小説の神様と称される。
 *太宰治新戯作派)と対立。背景には新戯作派の作家たちが志賀に代表されるリアリズム文学を乗り越えようとしていた事情がある。
  この対立の根底には太宰の志賀に対する畏敬とコンプレックスがあったといえる。
 *倫理観の違いから父と激しく対立

・白樺派
武者小路実篤有島武雄などと共に雑誌『白樺』を創刊。→白樺派と呼ばれる。
人間の可能性を信じ、自己の充実と生命力の向上を願う理想主義的人道主義的な考え。


●物語
・注釈

馬琴→滝沢(曲亭)馬琴1767〜1848)/江戸後期の小説家
*椿説弓張月→源為朝が琉球を平定する長編伝奇小説。
*南総里見八犬伝→伏姫と八房という犬のあいだに生まれた八犬士が仁義礼智忠信考悌の
八つの玉を持って零落した里見家の再興に力を尽くす物語。大長編伝奇小説。
一銭→1円の100分の1
半町→一町は約109メートル
1寸→約センチ
舞台→広島県尾道市といわれている。
仕舞屋(しもたや)→商売をしていない普通の家
新地→新たに開かれた土地にある歓楽街
修身→旧制の小中学校の科目の一。忠孝などの道徳の時間。
雲右衛門→浪曲師。武士道を鼓舞する浪曲で評判を博す。
ためつ、すがめつ→いろいろな角度からよくよくみるさま。
600円→清兵衛は10銭で手に入れたため当初の6000倍の値段。


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